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今、求められる企業からのメッセージ ~ SNSに投稿された「新聞広告の写真」から

新聞
【掲載日】2020年05月27日 【媒体】日本経済新聞 【段数】15段
今、求められる企業からのメッセージ ~ SNSに投稿された「新聞広告の写真」から

 新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言から約2カ月、私たちの生活は大きな影響を受けました、外出自粛、休業要請、そして企業活動の停滞。感染そのものよりも、この状況はいつまで続くのかという先の見えない不安が多くの人々の心理的な負担になりました。

 このような状況の中で、企業はどのようなメッセージを発信したでしょうか。新聞広告は単なる販売促進の目的だけではなく、企業としての思いや考え方を広く社会に伝える機能があります。緊急事態宣言の期間中に掲載された広告の中から、企業のメッセージが共感を呼び、多くの人が紙面の写真を撮ってSNS(交流サイト)に投稿した事例を紹介します。

明確なメッセージが「安心」を与える

 4月29日に掲載されたユニクロの広告です。

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 生活に必要な商品を販売する量販店は店を開けるべきか、休業するべきか。企業にも消費者にも多様な考え方がある中、ユニクロが選んだ答えは、一部の店舗を除き営業を続けることでした。
 その明快な理由がヘッドコピーに表れています。

「今日も変わらず、必要な服をお届けできるように。」

 衣料品は清潔で快適な生活を送るために不可欠なものであり、店を開けるにしても感染回避に十分な対策を講じることを説明した広告は人々の心に響き、広告の写真が多数SNSにアップされました。

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 新聞広告を見た後にスマートフォンを取り出し、写真を取り、SNSを立ち上げ、投稿する――。この手間をかけてまで他の人に伝えたいと思う強い共感が表れています。

 皆が不安を感じている時期に企業が明確な意思を持ってメッセージを発信すれば、不安は安らぎ、その企業に対する安心と信頼感が増す。それはデータからも推し量ることができます。日本経済新聞社が先日実施したアンケート調査でも、「コロナウイルス感染拡大に対する企業の支援の取り組みをどう感じますか」という質問に対して、約9割の人が「取り組みに関する情報を見聞きしたい」「企業は積極的に情報発信してほしい」と回答しています。

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 先の見えない状況の中で、多くの人が企業からの積極的なメッセージ発信を求めていることがわかります。

白衣メーカーが捧げる医療従事者への感謝

 次に紹介するのは5月13日に掲載されたナガイレーベンの広告。
「医療従事者のみなさまへ あなたの勇気、忘れない。」というメッセージです。

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 自らが感染するリスクと向き合いながら、医療崩壊を防ぐため最前線で闘う医療従事者の方々への感謝は「ブルーライトアップ」等の行動で世界中に広がっています。医療用白衣のトップメーカーであるナガイレーベンにとって、その思いは一般の人々より数段強いものであるからこそ、そのシンプルなメッセージは多くの人々に強く響きました。

 画家の宮嶋結香さんが描く、白クマが子グマを抱擁するイラストの優しさ、美しさも加わって、この広告も多くの人が写真を撮ってSNSに投稿しました。

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YOSHIKIの思いに共感あふれる

 最後に紹介するのは企業が発信する広告とは少し趣旨が異なりますが、5月16日に掲載されたミュージシャンのYOSHIKIさんからのメッセージ広告です。

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 ほんの数カ月前まで、今の状況は誰も予測できませんでした。そんな中でYOSHIKIさんが、今すべきこと、今だからできることを考えながら、「Stay United.」--みんなで一緒に力を合わせてこの難局を乗り切っていきましょうとメッセージを送ります。日経ARアプリ(※注)を使うと、ロサンゼルスの自宅で自分の考えを語るYOSHIKIさんの動画が新聞紙面から浮かび上がります。

 影響力のある著名人が人々を勇気づけるメッセージを発信する場として新聞広告を活用したこの事例は、YOSHIKIさんのファンだけでなく多くの人を魅了して熱い共感を呼び、紙面の写真をSNSに投稿した数は掲載当日だけで100件を超えました。

(注)日経ARアプリ・・AR(拡張現実)の技術を応用したスマートフォン用アプリ。新聞にかざすと動画が流れたりウェブサイトにリンクするなど新聞の新しい体験ができます。

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 緊急事態宣言はようやく解除されましたが、コロナウイルスが無くなったわけではなく、不安が払拭されたわけでもありません。人々を勇気づける企業の積極的なメッセージは今後も求められていくでしょう。

★日本経済新聞に掲載された話題の広告をSNS「日経広告手帖 速報板」で紹介しています。

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