事例

クリナップ
キッチンから感謝、節目の日に

新聞
【掲載日】2021年3月11日 【媒体】日経朝刊 【段数】全15段
キッチンから感謝、節目の日に
  • 代表取締役 社長執行役員 竹内 宏 氏

あしたがくるよ、さ、ごはんにしよう。代表的な家庭料理、肉じゃがのイラストを真ん中に据えたクリナップの広告は、東日本大震災から10年の節目で「すべてのステークホルダーに感謝の思いを改めて伝えたい」と竹内宏社長の号令で企画したものだ。被災企業としてあの日を忘れることはない。自社製キッチンを表に出さない企業広告は同社にとって初の試みだったが、商品広告ではなかった大きな反響があり、手応えを感じたという。

被災後に福島県いわき市の主力工場で一部製品の生産が再開したのは39日目、完全な復旧には1年近くかかった。余震が続くなか、初めて経験する生産ができない不安。それでも「待つよ」と言ってくれた顧客や取引先、復旧を支えてくれた地元。そうした経験に基づき、面と向かっては言いにくい思いを手紙のような「お礼広告」に仕上げた。もちろん震災後に入社して当時のことを知らない若手社員に向けたメッセージも込めている。

震災は、絆が困難を乗り越える力になると気づかせてくれた。広告掲載後、取引先の社員から当時の苦しい心境や今も変わらぬクリナップ製品への思いをつづったメールが届き「涙した」(竹内氏)。コロナ禍の今こそ、食がつなぐ絆を伝え続けていく。

日本経済新聞に掲載された広告の中から注目された紙面を紹介。反響や制作側の思い、表現の工夫などからその訴求力の源を考えます。

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