事例

工業組合もやし生産者協会
事例インタビュー
新聞広告での発信で今までとは異なる反響を獲得

新聞
【掲載日】2022年11月07日 【媒体】日本経済新聞 朝刊 【段数】全15段
事例インタビュー新聞広告での発信で今までとは異なる反響を獲得

【お話を伺った方】
工業組合もやし生産者協会 理事長 林 正二 様

―――今回の広告の検討を始めた状況を教えて下さい。
 原料価格が高騰する一方で、もやしの価格は上がらず、ほとんどの生産者は経営が厳しい状況です。このようなことは今までも何度かありましたが、今回はこれまでにない程の厳しさであるため、この窮状を消費者や流通業向けにさらに強く訴求する必要があると考えました。その際に、私が思い出したのが2013年に日本経済新聞で拝見した卵の生産業界を取り巻く状況を訴求した意見広告です。これは非常にインパクトがありました。10年近くたった現在でも印象に深く残っており、もやし生産者を取り巻く状況を訴求するにはこの手法がよいのではないかと考えた次第です。

―――今回の訴求内容を日本経済新聞での広告で出稿するという手法を考えた理由を教えて下さい。
 今回は小売業の経営者層に私どもの窮状を知っていただくことが大目的でした。そこで、どうすればターゲットである小売業の経営者層に届くのかということを考えました。
 実は今までも、そのような方々を対象に窮状を訴求する活動はしていました。私どもの組合には資金的な余裕はありませんので、これまでは経営者の方々を対象にDMを送るというようなことを実施してまいりました。しかし、そういったDMは小売業の現場の担当者などには届くものの、経営者などのキーパーソンにまでには到達できないという問題点もありました。
 今回、原料だけでなく資材価格も高騰し、もやし生産者を取り巻く状況は今までの比でないくらい厳しい状況です。そこで、先程申し上げた意見広告の手法をもとにターゲットとの親和性の高い日本経済新聞での意見広告を提案したところ、理事会及び臨時総会で承認され、実施の運びとなりました。

―――広告制作などで苦労したこと、気を配ったことなどがあれば教えて下さい。
 生産者の窮状を訴求するというのが目的ですが、表現内容によっては公正取引委員会から指導を受ける可能性もあります。そこで、公正取引委員会などに確認を行い、それと同時に私どもの状況をご理解いただくための表現をいかにすればいいかということを考えていきました。
 また、消費者や生産者の取引先など、これまでもやしを支えてくださったすべての皆様に対する感謝の気持ちも盛り込みました。冒頭で日頃のご愛顧への感謝を伝えることによって、その後に続く主張の表現も少し和らいだ印象にすることができ、受け入れられやすくなるのではないかと考えました。

―――広告掲載後の反響について、教えて下さい。
 ターゲットとする小売の方からも反響をいただき、具体的に商談の話が入っているケースもあると聞いています。今まで小売業の方々にはDMを送付するなどして、もやし生産者の状況を訴求する取り組みをしてきたわけですが、同じ内容でも訴求方法を変えることで異なる反響があったことに驚きました。
 日本経済新聞の読者の方からの反響が複数寄せられた他、20件以上のメディアからの取材依頼がありました。メディアの取材は掲載から1ヶ月以上経った現在もあり、その反響の大きさに驚いています。
 読者の方からは生産者への応援のメッセージの他、応援したいが消費者は何をすればいいのかというお声、もやしの値上げを実現するためのご提案などをいただきました。特に値上げ実現のためのご提案は、経済紙である日本経済新聞の読者の方らしい内容で印象に残っています。 
 また、この広告は11月11日の「もやしの日」の少し前に掲載されたのですが、それがメディアの方々にすると好都合だったようです。おかげさまで11日のもやしの日にからめて私どもの状況に関して取り上げていただきました。

*お話を伺った方のご所属などは取材当時のものです