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日経IDと連携、大手企業のリードを効率的に獲得[第10回日経電子版広告賞受賞インタビュー]

デジタル
【開始日】2019年8月14日 レクタングル、ダブルレクタングル(大賞)
日経IDと連携、大手企業のリードを効率的に獲得[第10回日経電子版広告賞受賞インタビュー]

 2019年の日経電子版広告賞の大賞を受賞したKDDIは、企業サイトで初めて、リード(見込み客)獲得のために日経IDログインと連携した先進的な取り組みが評価された。KDDIがターゲットとする「戦略企業」を対象に、日経IDが持つ役職などの属性情報を掛け合わせて効率的に広告を配信。さらに、広告のランディングページのイベント関連資料のダウンロードボタンには日経IDを活用し、ユーザーの記入項目の多くがプリセットされ入力の手間を省いた。ユーザーのストレスが減り、効率的なターゲットリード獲得に寄与した。一連のアカウント・ベースド・マーケティング(ABM)や入力フォーム最適化(EFO)の狙いと効果について、KDDIソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 副本部長兼ソリューションマーケティング部長の赤石浩之氏と、同本部のソリューションマーケティング部 マーケティング1G主任の森本祐吏氏に聞いた。

無駄な広告を打たず迅速に伝える方法を模索

――今回の出稿の背景にあった、御社のマーケティングの課題を教えてください。

赤石氏: KDDIのソリューション事業本部は法人のお客さま、基本的には大企業のお客さま中心に、モバイル、ネットワークやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の商材を提供しています。次世代通信規格の5G導入や、あらゆるものがネットにつながるIoTの加速によって、多くのお客さまが変化への期待感を持つと同時に、実際のビジネスにどう生かすのか模索しています。有益な情報を求めているお客さまに、限りなく短い時間でリーチができるマーケティングが必要になっていますが、対面営業によるアプローチでは人員や時間に限界があります。こうした中、いかにして私たちの提供価値をお客さまに伝えていくのかが最大の課題でした。

KDDIソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 副本部長兼ソリューションマーケティング部長の赤石浩之氏

森本氏: リードを獲得する場合、その鮮度とともに(商談など)後につなげることができる体力が問われます。そのためには、データ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)を活用し、かなり早い段階でお客さまを絞り込んでコミュニケーションを実行するしかありません。言い換えれば、無駄な広告はできるだけ打たず、効率よくお客さまにアプローチする必要があるのです。

KDDIソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 マーケティング1G主任の森本祐吏氏

従来の営業では届きにくかった経営層にリーチ

――その課題を踏まえ今回出稿した意図と、媒体として日経電子版に何を期待したのか教えてください。

森本氏: 従来の対面営業ではお客さまの情報システム部門がコミュニケーションの中心でした。今回の日経IDとの連携では、これまでアプローチしきれていなかった経営企画部門あるいは経営層といった、決定権限を持つセクションの当事者をターゲットにしました。そのためにはABMで効率を高める必要がありました。通常の広告配信でこのターゲット層に到達するには、マーケティングの大家・コトラーが「スプレー・アンド・プレイ(Spray and Pray)」と指摘したような過大なインプレッション露出が必要になったことでしょう。

赤石氏: KDDIは通信の会社というイメージが強いのですが、それだけでなく、お客さまとともに課題に向き合い、お客さまの本業に貢献できる付加価値を提案する営業に転換を進めています。2018年に「KDDI DIGITAL GATE」というサービス開発拠点をつくり、お客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)に関するソリューションのお手伝いをしているのは一例です。DX推進を唱えつつも、なかなか進まないという悩みを持つお客さまに、デジタルデータを活用してソリューションを提供していることを経営者層に知ってほしかったのです。

森本氏: 広告主と媒体の関係は以前と比べて変化しています。互いの課題を共有しながら1つのチームとして連携するのが新たな姿です。KDDIと日経は互いの目的が合致していたので、今回の施策は最初から成功するだろうと期待していました。それと、ランディングページ訪問者に資料をダウンロードしていただく部分では、日経IDユーザーがプリセットによって項目入力の手間を省けることが、より効率的にストレスなく申し込める点も注目しました。

ランディングページに配置した資料ダウンロードのCTAボタンは、日経IDユーザーとそれ以外で分けた

日経ID連携でEFO改善、コンバージョン率上昇

――コンバージョンの満足度はいかがでしたか。

森本氏: 期待以上の結果がでました。扱う内容が「5G」というトレンドキーワードであったことも確かですが、通常の手動で入力するフォームと比較し、日経ID連携では入力完了率が約2倍に跳ね上がりました。また、入ってくるお客さまの質が高い。通常の方法でしたら、ターゲットと異なる事業規模のお客さまや競合企業の方などのアクセスが多くなりがちですが、今回は狙った層のお客さまの比率が非常に高かったのです。役職でみても部長以上の決裁権限を持つような方々という狙いに合致していました。そうした効果を加味して考えると、今回の施策のCPA(顧客獲得単価)は圧倒的に安価であったと考えています。

赤石氏: DXがテーマの場合、経営に近い層から提案することで、お客さまが実践することが楽になります。一方、現場から入る場合、変化を望まないバイアスがかかって、前進するのに時間がかかることがあります。経営に近い層に有益な情報を伝えることで話が進みやすくなり、結果としてお客さまのためになったのではないかと考えます。

「お客さまがほしい情報をほしいときに」

――他メディア、特にトラディショナルな媒体と比較して成果をどう評価されますか。

森本氏: 経済メディアとして日経電子版のユーザーにはビジネスパーソンの厚みがあります。他のメディアで今回と同じターゲットを狙ったら、結果はだいぶ違っていたと思います。デジタルメディアを比較すると、日経IDユーザーのボリュームは圧倒的に高いというのが実感です。電子版読者は新聞同様に毎日閲覧する傾向があり、私たちのお客さまと常に接点を持っている印象です。

赤石氏: 日経ID会員の質の高さについては以前から知っていましたし、信用できると思っていました。今回の施策でそれを改めて実感することができました。

――今後の展開につきましてもお聞かせください。

森本氏: お客さまがほしい情報をほしいときに届けていくことがゴールだと考えます。お客さまから「一方的に押しつけられている」と思われてしまったら負けです。広告を出すタイミングをどのようにはかっていくのかが今後は重要です。また、日経IDログインの仕組みは効果があることが見極められましたので、今後も活用を進めたいと考えます。

赤石氏: 当社がサービスを提供する5G、IoT、DXといったキーワードは、今後ますます世の中にあふれてきます。そうなると、ユーザーにとっては価値ある情報とそうでない情報の見極めがより重要になります。お客さまが安心できる情報を手間をかけずに手に入れられるようにするため、効率的な仕組みを磨いていきたいです。

  • 企画:KDDI
  • 制作:電通、電通アイソバー、COLSIS、CREVUS
  • ストラテジックプラン・メディアプラン・プロデュース:森本祐吏(KDDI)
  • 制作アカウントエグゼクティブ:八木陽介(電通)
  • 制作プロデューサー:千葉順子(電通アイソバー)
  • 制作ディレクター:安藤郁(電通アイソバー)
  • テクニカルディレクター:桐田寛之(COLSIS)、石山舞(COLSIS)
  • 実装:森山敬(CREVUS)

肩書・役職名はインタビュー当時のもの

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