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変わるものと変わらないもの、テクノロジーで支える 制作もフルリモート 日本IBMの動画広告

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【開始日】2020年07月20日 第11回日経電子版広告賞受賞インタビュー ディスプレー部門最優秀賞
変わるものと変わらないもの、テクノロジーで支える 制作もフルリモート 日本IBMの動画広告

「いま」「変化がもとめられています」「でも」「変わらないものもあります」――。私たちの日々の暮らしをとらえた映像とともに流れるテロップが心を打つ。2020年6月、日本IBMが日経電子版のビルボード動画で打ち出したメッセージだ。世界規模のパンデミックに多くの人がまだ衝撃を受けていたころ、日本IBMはテクノロジー企業として変化を支える姿勢を伝える動画広告を展開し、第11回日経電子版広告賞ディスプレー部門で最優秀賞を受賞した。日本ならではの視点も取り込んだこの広告の制作秘話を、日本IBMマーケティング ブランド推進宣伝担当部長、植田久美さんに聞いた。

テクノロジー企業としてできることを模索

――世界中が先行きの見通せない不安に包まれた時期、あの動画は印象的でした。

 ありがとうございます。日本で新型コロナウイルスの感染が本格化していた2020年3月下旬、暮らし方、働き方が大きく変わる不安感が広がり始めていた時期に、IBMのマーケティング部門はグローバルレベルですでに動き出していました。私たちがこれまでのようにビジネスを展開するために、テクノロジー企業であるIBMにできることがあるのではないか。それを外に伝えていくべきではないかという議論を、グローバルレベルで始めました。
 ともすれば、「こんなタイミングに……」という反発も招きかねない時期だったため、どうメッセージを打ち出すのかを丁寧に議論し続けました。生活インフラや物流、小売りなどのエッセンシャルワーカーの働き方は変えるわけにはいかない。けれども、それ以外の分野で働き方は変えていく必要があるだろう。IBMは変わるもの、変わらないものどちらも支えるテクノロジー企業であることを伝えたい。こんなメッセージをまとめると同時に、営業に近いマーケティング部門では具体的なソリューションが提供できる態勢を急ピッチで検討しました。

独自にアレンジした動画で日本の課題解決サポートを示す

――動画もグローバルで同じものを制作したのですか。

 動画は米国で制作したものがベースですが、本国が制作したものをそのまま流したわけではありません。特に今回のコロナウイルスの感染状況は、地域によって異なり、米国側も各国の状況に合わせて内容は変えてよいという方針を出したので、日本で流した広告は、実は米国の動画とはかなり変えています。
 一番大きな違いは、日本版では「テレワーク」を特に取り上げたことでした。コロナ禍前の日本は、米国に比べテレワークはあまり進んでおらず、テレワークの浸透は日本独自の課題だと判断しました。セキュリティーや人事管理などテレワークを実施するうえで解決しなければならない難題も、IBMと一緒に始めませんかというメッセージを盛り込みました。
 映像にも日本の風景を取り入れると同時に、グローバルで制作した映像も残しました。パンデミックで日本人が困っている課題に寄り添うと同時に、この困難は世界レベルであり、世界で力を合わせて乗り越えようというメッセージを送りたかったのです。

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――人と会うことがままならない時期の制作は難しかったのでは。

 制作手法も、2020年ならではでした。日本側での制作過程は完全にリモート。撮影に出かけることができなかったため、日本側で制作した動画では、各場面に適した既存の映像を選定し活用しました。編集スタジオに最低限のスタッフが入って制作し、制作会社もIBM側の担当者もそれぞれリモートで確認していきました。テクノロジー企業として、リモートでも制作を含めた活動を継続できることを自ら実証すべきという思いもありました。
 動画を配信する媒体も、目的に応じて変えました。今回受賞した動画広告は3本の施策のうち2本目で、1本目は2020年5月にテレビ広告として展開しました。2本目で日経電子版を選んだのは、変えられるものを変えていくには、ビジネス寄りの読者層に訴えて、変化を起こしていきたいと考えたからです。日経電子版はビジネスパーソンに向けてメッセージを発するのに適した場と考え、ビルボード動画として展開することにしました。

日経の読者基盤をもっと活用した戦略に挑戦したい

――今後の日経電子版へのご期待を教えてください。

 日経電子版の強みは、優れたコンテンツを軸とした読者基盤にあると思います。今後は読者データを活用したマーケティング戦略をさらに進めていきたい。広告の手法面でも、新しいものにどんどん挑戦してみたい。日経電子版の媒体力と企画力に期待しています。

  • 企画・制作 ジオメトリー・オグルヴィ・ジャパン
  • CD 杉友ジョージ
  • AD 橋本慎太郎、塚本 岳、辰巳梨里子
  • D 辻岡優作
  • C 鈴木利和
  • AM 三方若葉、林 盈穎