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パーパスブランディングと従来のブランディングとの違いを説明できますか?

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パーパスブランディングと従来のブランディングとの違いを説明できますか?

ME価値(私にとって)から、WE価値(私たちにとって)へ

パーパスブランディングは、これまでのブランディングと何が違うのでしょうか?
これまでのブランディングの多くは、企業が消費者というお金儲けの源泉を“ブランド価値”の提供で狙い撃つという“スナイパー発想”で行われてきました。ターゲットの消費者個人が得られる価値に焦点が当たっていて、社会における存在意義という観点では価値の定義がされていません。
一方、パーパスブランディングは、社会的な存在意義をパーパスとして定義することで「この指とまれ!」と賛同や共感を集めることで、ブランドの使用や購入・推奨行動につなげていこうとするものです。
これまでのブランディングでは、ME価値(私にとって)を中心に戦略が立てられてきましたが、パーパスブランディングにおいては、ME価値に加えてWE価値(私たちにとって)までを価値定義していきます。

例えば、エナジー系ドリングのレッドブルは、「個人的で刹那的な欲求を充たす」という提供価値でブランディングが行われているかのようにも見えます。しかし、レッドブルのブランドパーパスは「世界に活力を与える」ことです。「あなたに活力を与える」ことではなく、社会にとっての存在意義を定義して、エクストリームスポーツの支援など、全てのマーケティング活動が展開されています。

パーパスは“三方良し”で定義する

ブランドパーパスを定義する際に、「ブランドチームの意思」と「消費者や社会のインサイト」のどちらが優先されるのか?という議論があります。ブランディングを推進するのはブランドチームなのだから、自らの意思を持って「こうありたい」という想いが優先されるべき、という意見。一方、ブランドの価値は消費者の心の中で決まるものだから、消費者のインサイトを優先しないと企業の独りよがりなブランディングが行われてしまう、という意見です。

パーパスブランディングを成功させるには、消費者のみならず、ブランドチーム(社員)、取引先、投資家などの関係者に、そのパーパスに対して強く賛同、共感してもらうことが必要です。ブランドチームも「よし!この存在意義(=価値)の実現に全力を尽くそう!」「この価値を世の中に提供するブランディングを仕事にできて幸せだ!」そのように思えるパーパスでなければなりませんし、消費者からも「あ、そうそう、そういうことを求めてたんですよ!」「よくぞやってくれました!」と思ってもらえるものでなければなりません。その他の取引先や投資家も然りです。
ブランドチーム(社員)も含む「三方良し」を見つけ出し、パーパスとして定義するのです。

基礎になるのは、深い人間理解(=インサイト)

成功しているパーパスブランディングはいつも、次の2つを実現しています。

(1)消費者のみならず、社員、取引先、投資家などの関係者、つまり社会が求めているがいま提供されていない「未充足の社会価値」を存在意義の中心に据えていること
(2)商品、プロモーションを含むすべてのブランド体験が「押し込み/説得」ではなく「惹きつけ/共感」によって購買・使用・推奨行動などを生み出していること

これらの基礎になるのが、深い人間理解(=インサイト)です。人が言葉にはできないが求めていることを深く理解することで、パーパスブランディングは絵に描いた餅ではなく、実効性をもつのです。これまでのブランディングよりも増して、インサイトの重要性は増しています。表面的な人間理解では、通用しないのです。

パーパスブランディングは、自社の社会的な存在意義がテーマ

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