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第34回 日経企業イメージ調査

調査項目はビジネスパーソン、一般個人共通で、下記の通りである。このうち、「企業認知度」「広告接触度」「一流評価」「好感度」「株購入意向」「就職意向」の主要6項目は程度を表す複数の選択肢を設けて、その中から当てはまるものを選んでもらった。それ以外の25項目(継続調査のイメージ項目が21項目、調査年によって入れ替えることもあるトピック・イメージ項目が4項目)は当てはまると思うものに○印をつけてもらった。

【総合得点】グーグルやヤフー、デジタル化けん引役に期待

日本経済新聞社と日経広告研究所がまとめた「第34回日経企業イメージ調査」によると、ビジネスパーソンが評価する総合得点のトップは21年連続でトヨタ自動車となった。調査21項目のうち8項目でトップ。グーグルが2位(前回6位)に上昇した。業務デジタル化のプラットフォームとして存在感が高まった。気候変動問題への関心や資源価格高騰を背景に、エネルギー関連企業の順位が上がった。伊藤忠商事20位(同40位)など、総合商社の評価が高まった。新型コロナウイルスのワクチンが話題となり、医薬品メーカーも上昇した。

グーグルやヤフー、デジタル化けん引役に期待

【企業認知度】在宅商品でファストリ、セブン躍進

ビジネスパーソンを対象に聞いた「企業認知度」では、ファーストリテイリングが前回4位からトップに躍進した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務に向いたカジュアル衣料に力を入れた。ローソンなどコンビニ大手3社も順位を上げた。ただ小売業の得点は全体として下がっている。外出自粛の広がりで、前回上位にあった外食産業やテーマパークの順位が大きく下がり、相対的に小売業の順位が上がった。在宅勤務やネット通販でポータルサイトに触れる機会が増えて、ヤフー、グーグルの順位が上昇した。

在宅商品でファストリ、セブン躍進

【広告接触度】ビール大手4社、広告効果高まる

コロナ禍での在宅勤務でパソコンに向かっている時間が増え、テレビ、新聞にとどまらず、インターネット広告に触れる機会も増えた。ビジネスパーソンを対象に広告を見聞きした程度をまとめた「広告接触度」では、アサヒビールをはじめ大手4社が1~4位に並んだ。東京五輪・パラリンピックをビール片手に自宅でテレビ観戦したいという人が多く、広告に注目した。巣ごもり需要を当て込んで家具、家電、日用品でも広告が活発だった。ファーストリテイリング、ニトリが順位を伸ばした。総合スーパーのイオン、イトーヨーカ堂も上がった。

食品メーカー、宅食機会増え存在感高まる

【株購入意向】食品メーカー、宅食機会増え存在感高まる

株式を買いたい企業かどうかをビジネスパーソンに聞いた株購入意向ランキングは、味の素が前回4位からトップとなった。新型コロナウイルス感染拡大に伴い自宅で食事をする機会が増え、食品大手として存在感が高まった。ネット通販が増えて宅配便の利用も拡大し、ヤマト運輸は79位(前回142位)に上昇した。気候変動対応でエネルギー転換に取り組む石油会社の評価も高まり、ENEOSが93位(同175位)となった。ワクチン供給で新型コロナ収束に貢献したファイザーは50位(同178位)に躍進した。

食品メーカー、宅食機会増え存在感高まる

【ESG関連イメージ】伊藤忠、三井不動産のガバナンスに高評価

SDGs(持続可能な開発目標)を達成するためのESG(環境・社会・企業統治)投資に関する調査項目では、「社会貢献への取り組みに積極的」についてのビジネスパーソン評価で、ファイザーが前回240位から2位に跳ね上がった。ワクチン供給で新型コロナを収束させ、世界的な経済活動再開に導いた。医薬品が総じて高くなった。「コーポレートガバナンスがしっかりしている」では、伊藤忠商事、三井不動産の順位が上がり、上位に入った。強固な経営基盤を背景とした組織運営が評価された。

伊藤忠、三井不動産のガバナンスに高評価

【研究開発力・商品開発力が旺盛である】製薬会社、ワクチン開発で注目

研究開発力・商品開発力が旺盛な企業についてビジネスパーソンに聞いたランキングでは、ファイザーがトップ(前回36位)となった。遺伝子技術を用いて、新型コロナワクチンの開発で先陣を切った。脱炭素を目指して、電気自動車(EV)の開発を本格化している自動車メーカーの評価も高まった。EV大手テスラの順位が上がった。再生可能エネルギーの開発を進める石油会社の順位も高まった。業務デジタル化に欠かせないクラウドサービスを提供する企業も順位を上げた。

製薬会社、ワクチン開発で注目

コラム

多様な評価軸で企業の本質を見る

強まるESG評価の影響

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