調査・マーケティングデータ

日経企業イメージ調査とは?
Vol.2_企業を多角的に評価する調査項目

前回は、企業イメージ調査は健康診断と同じような性格であると説明しました。
健康診断では体重や血圧のほか様々なチェック項目があります.企業イメージ調査も様々な項目で企業のブランドイメージを評価しています。
今回は企業イメージ調査の項目についてご紹介します。

認知度だけではない調査項目

「ブランド」の由来は、中世の欧州で家畜に焼き印をつけて自分の持ち物だと他者に知らしめたとことだといわれます。他の人も「認知」していて、「他人と同じメッセージを共有している」という概念がブランドに含まれています。
ブランド評価調査では、認知度を評価するものが多くあります。「認知」は根幹といえますが、認知されているメッセージの内容には様々なものが考えられます。例えば、好感度のほかに一流な印象があるとか、頼りになるとか、などです。
そこで調査項目は、1988年から時系列で比較分析するために固定している27項目と、年によって変更する4項目を設けています。 固定の27項目は「主要項目」と「詳細項目」に分かれます。主要項目は質問ごとに選択肢を提示して、1つずつ回答してもらっています。詳細項目は21項目から、あてはまると思うものをすべて選んでもらう方式です。

企業イメージ調査評価項目


トピックス項目については調査年によって評価する項目を変更しているため、時系列で比較・分析が可能なのは主要項目と詳細項目のみ

主要項目
企業認知度 広告接触度 一流評価
好感度 株購入意向 就職意向

主要項目の質問にはそれぞれ4つの選択肢を提示し、1つ選んで回答してもらう方式になっている。

詳細項目
顧客ニーズの対応に熱心である よい広告活動をしている
親しみやすい 営業・販売力が強い
センスがよい 個性がある
文化・スポーツ・イベント活動に熱心である 研究開発力・商品開発力が旺盛である
技術力がある 扱っている製品・サービスの質がよい
活気がある 成長力がある
新分野進出に熱心である 社会の変化に対応できる
優秀な人材が多い 国際化がすすんでいる
経営者がすぐれている 財務内容がすぐれている
安定性がある 伝統がある
信頼性がある

回答者は上記にある詳細項目のうち、あてはまると思うものをすべて選択する方式で回答してもらう。


トピックス項目
地球環境に気を配っている コーポレート・ガバナンスがしっかりしている
女性が活躍している 社会貢献への取り組みに積極的

トピックス項目は、調査年によって表現が変わるため、時系列での比較などにはあまり向いていない。

株購入や就職意向という観点でも評価企業への評価の深層心理探る

評価項目には企業の製品やサービスなどマーケティング活動を通じて日頃から人々に浸透しやすい項目のほかに、企業活動や業績の好不調などが反映されやすい項目があります。
とりわけ他のブランド評価調査ではあまり見かけない項目が「株購入意向」と「就職意向」です。評価対象となる企業が未公開企業だったり、人材採用をしていなかったりする場合も、回答者には評価をしてもらいます。
株式の購入や就職先選びという行動には、業績の好・不調や労働環境、その企業の提供する製品・サービスの成長性、企業としての社会とのかかわりなど、様々な価値観が反映されます。製品の評価調査や好感度調査とは異なり、多面的な視点で企業の評価が分かります。

企業評価の観点は多様