コラム

投資経験や運用額別での違いは?

個人の投資行動は、運用資産額や投資経験によって変わってきます。投資初心者とベテランでは何が違うのでしょうか――。本稿では、「個⼈投資家調査2024-2025」(※)の結果をもとに、個人投資家の投資スタイルを紹介します。

※前回のコラム「個人投資家調査から vol.1『億り人』に共通する特徴は?」はこちらから。

※日本経済新聞社(調査機関:日経リサーチ)が、2025年1月末に20歳以上の株式保有者を対象に実施。全国の個人投資家1667人から回答を得た。

投資目的、銘柄選定で注目する点、保有銘柄数は

あなたは、何のために株式投資をしていますか――。個人が投資をする動機の1位は「資産運用(配当・値上がり益)」(60.6%)、2位が「老後の生活資金の確保」(52.3%)、3位が「株主優待の獲得」(41.7%)(複数回答可)でした。

銘柄選定において、投資歴が浅い層は「配当金」を重視する傾向があります。その後、投資歴を重ね、運用金額が増えるほど「長期的な利益の追求」を重視する人が増えてきます。「億り人」(=1億円以上の投資家、連載第1回参照)となると、その81.5%が「長期的な収益」を重視しています。

投資経験が長く、運用資産が増えるほど保有銘柄数も増える傾向があります。投資信託では全世界株や米国株を扱うインデックスファンドが人気ですが、株式投資では圧倒的に国内株が中心。プライム市場の上場株を保有する割合は83.3%にのぼります。保有銘柄数は運用金額200万円未満の投資家の場合、1~5銘柄程度ですが、1000万~5000万円の投資家では10~30銘柄に。「億り人」になると、50銘柄以上を保有する割合が高くなり、国内株式だけでなく海外銘柄が増えることも特徴です。

また、情報源についても聞きました。全個人投資家の40%以上が利用している情報としては、個別企業の株価情報(73.5%)、財務・株価指標(PER、ROE、一株利益、配当利回り)(54.7%)、市況解説(42.1%)、市況数値(TOPIX、日経平均など)(41.9%)が挙げられます。

興味深いのは、「SNSや個人投資家のブログなどの情報を参考にする」割合が、投資経験5年以下ではなく、「投資経験6~10年目」の投資家で最も高かった(18.2%、平均10.3%)ことです。投資経験をしばらく積んでいく中で、「自分のやり方が正しいのか」「他の投資家の成功例が気になる」といった意識が強まる時期なのかもしれません。投資経験が10年以上になると、財務状況や決算などの個別企業データを調べる投資家が増えていきます。保有銘柄数も増加するためリスク分散や税制などを考慮した投資姿勢へシフトする傾向が見られます。

「新・NISA」の利用率に濃淡あり

税制優遇といえば、2024年に新たに始まった「新・NISA(少額投資非課税制度)」の利用率は全体で約75%です。開始から1年目。高い利用率といえますが、「運用金額」によって濃淡があります。1000万円以上の資産を持つ投資家は「旧NISA口座から利用している」「新NISAに切り替えた」など積極的に活用している様子が伺えます。一方で、運用金額200万円未満の投資家の37.1%は「まだ新NISAを利用していない」と回答しました。これは全体平均(26.1%)よりも10ポイント高い割合です。新・NISAは、個人の資産形成を後押しする目的で設けられた制度です。その対象となる層の利用率には、まだ「伸びしろ」があるといえるでしょう。

投資金額によって変わっていく「投資スタイル」

最後に、「運用金額による投資スタイルの違い」を簡単に整理してみました。少額投資家は、投資できる銘柄数は限られるため、「株主優待」や「話題の株」に関心が高い傾向があります。1000万円以上の中規模投資家になると、「投資方法」への関心が高まり相場データもチェックする投資家も増えてきます。5000万円~1億円以上になると個別企業の長期的な成長性・収益性を重視する傾向が強くなります。そのため、企業の公式HPや社長インタビューをチェックしたり、投資イベントに参加したりと、“投資の材料集め”にも積極的な傾向がみてとれました。

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