- 常務執行役員 管理本部長 大島 毅之 氏
昭和30年代、私の服は全て蛇の目ミシンを愛用していた母のお手製。30年前に結婚した時に母が支度してくれたのも蛇の目ミシンだった……。
10月16日に創業100年を迎えた蛇の目ミシン工業改め「ジャノメ」が、社名変更当日の10月1日付で日本経済新聞朝刊に掲載した15段広告に、60歳代の女性読者がこんな述懐を寄せた。昔懐かしい流線型の手回しミシンのビジュアルで「昭和ひと桁生まれの母」の思い出を誘われた読者も多かったはずだ。
日本経済新聞紙面ビューアーのデータをみると、紙面滞在時間が長かったのは60歳代に加え20~30歳代。黒地にコーポレートカラーの赤で「100」の字を配した力強いクリエイティブは、デザインに敏感な若年層の心も捉えていた。
「100年続いたのは環境に応じて変われる会社だから。アンティークなミシンの写真で歴史と伝統を伝えると共に、ひと目で当社の広告だと分かるインパクトを出したかった」。制作を指揮した大島毅之常務執行役員の思いは、懐古にとどまらない「温故知新」。社内やグループ会社、海外拠点の反響は大きく、従業員の誇りも改めて呼び覚ます情報発信となった。