事例

イトーキ
事例インタビュー
従業員エンゲージメントの課題に、新聞広告を使って取り組む

事例インタビュー従業員エンゲージメントの課題に、新聞広告を使って取り組む
新聞
【掲載日】2023年12月18日~22日 【媒体】日本経済新聞 朝刊 【段数】全15段✕5本シリーズ

【お話をお伺いした方】
企画本部 コーポレートコミュニケーション統括部 統括部長   川島 紗恵子様
企画本部 コーポレートコミュニケーション統括部 広報課 課長 近藤 愛子様


---今回の一連の広告を企画した背景など教えてください。
 当社は、オフィス什器の製造や空間デザインなど働くための環境づくりをサポートする企業です。従前より社内広報は積極的に実施していましたが、製造と営業の会社が統合した経緯からお互いの部門の状況が見えづらく、コミュニケーションがなかなかうまくいっていないという課題や社員のエンゲージメント調査の結果が低調といった問題がありました。そこで、社内報(社内向けイントラネット)での発信強化の一環で、さまざまな職場の最前線で頑張っている社員たちを取り上げる連載コーナーを設け、情報発信する取り組みを22年からスタートしました。
 すると、徐々にこのコーナーへの反響が大きくなりこれまであまり表に出たがらなかった社員たちから取り上げられたいという声が聞こえてくるようになりました。
 自分や同僚が紹介されることを素直に嬉しいといってくれるようになり我々も「これはお互いを賞賛しあえる風潮になってきたのではないかと感じていました。そこで、社員達がその人なりの矜持を持って、一生懸命仕事に取り組んでいる様子を新聞広告として掲載することで、全国にいる社員のモチベーション向上につながるのではないか、またステークホルダーの皆様に社員たちの思いを知っていただく良い機会になるのではないか、ということで企画に至りました

---具体的にいつごろからどなたが企画されたのか教えていただけませんか。あわせて、様々なメディアがある中で日本経済新聞を選んだ理由についてもお聞かせください。
 新聞で広告を展開しようと考えたのは夏の終わり、9月頃です。コーポレートコミュニケーション統括部が起案し、社長承認を経て、具体的に進めました。
 日本経済新聞で新聞広告を出すことを選んだ理由は、大きく2つあります。
 1つ目は日本を代表する経済紙に広告が掲載されることが全国にいる社員やその家族の皆さんの自信や誇りに繋がれば、ということでした。当社は、高収益企業になることを目指して展開してきた中期経営計画がちょうど終了するタイミングでしたが社員達の頑張りのおかげで5日間連続の広告を掲載できるまでに業績も復活したのだ、ということを今回の広告を通じて感じてほしかったのです
 2つ目は、朝、出勤途中に新聞を読まれる方々に向けて、イトーキの社員たちのエピソードをお届けすることで、師走の忙しい時期ではありましたが、その日一日を頑張ろうという気持ちに少しでもなっていただけたらということでした。

---私どもが過去取材してきた中では、社員を登場させる広告の場合、各部署からこの人を取り上げてほしいなど、要望の調整に大変だったという話を聞いたこともあります。広告制作においてご苦労されたことや、気に留めたことなどがあればおしえてください。
 もともと、社内報でたくさんの社員を取り上げてきたので、その中から誰を取り上げるか非常に悩みましたが、できるだけ多くの読者の目に留まるよう、今回の広告を制作いただいた日本経済社の皆さんに社内報をご覧いただき、客観的な意見も含めて人選をしました。
 広告制作においてこだわった点としては、とにかく主人公である「社員」にフォーカスした内容にするということです。それぞれのエピソードに紐づく製品なども掲載はしましたが、決してそれらがメインならないことをレイアウトでは大切にしました。
 また、主人公たちと共に働く社員の写真も掲載しました。これは、それぞれのエピソードの裏にはともに働き、支えてくれている仲間がいるんですよ、ということを読み手の皆さんに知ってほしいということと、ともに働く社員たちへのエールの意味もありました。

---広告の反響はいかがでしたか。
 社内外から本当にたくさんのポジティブな反響をいただきました。掲載された社員からは、「家族や親戚がとても喜んでくれて、あちこちから『見たよ!』とたくさん連絡がきました」と報告がありました。また、メインで載った社員ではないのですが、自分が小さく写っているのを知った高齢の両親が近所のコンビニエンスストアにいって、普段は読まない日本経済新聞を買ってきて、大切に保管していた」という話も聞きとても感動しました。
 また、当社の社長(湊宏司代表取締役社長)のもとにもたくさんのお客様からお褒めのメールが届き、どんな著名なタレントを起用するよりも社員の皆さんの実体験から紡がれる言葉に勝るものはないですね」という大変ありがたいコメントも頂戴しました。
製品情報や事業に関わるプロモーション的要素をここまで排した広告を出稿すること自体初めてでしたし、この広告内容が読者の皆さんに受け入れていただけるかという不安もあり、すべてにおいて勇気がいる決断の連続でした。しかし、企業広告だったからこそ社員たちが仕事にかける思いを真正面からお伝えできたと思いますし、新聞の持つ力を今回の広告で改めて感じることが出来ました。

*取材にお答えいただいた方の所属・肩書などは取材当時のものです。

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