コラム

【日経IRコラム】コーポレートガバナンス・コード改定

新聞

学習院大学大学院教授 神田 秀樹氏

金融庁と東京証券取引所はコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改定内容を公表した。取締役役会の機能強化や持続可能性の確保を一層、求めている。また東証は2022年4月に市場区分を見直す予定で、新設される「プライム市場」の上場企業には3分の1以上を独立社外取締役とするなどの原則も設けている。学習院大学大学院教授の神田秀樹氏に聞いた。

解決に向け まず「課題」の明示を

 ――コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)改定の内容が公表されました。
 「日本の上場企業のガバナンス改革には4つの特徴がある。それ自体が目的ではなく、『企業の成長』という目的を達成するための手段であるということ。まず形式から入って、実質は後から備えるというやり方にしていること。改革の焦点を取締役会(ボード)と対話(エンゲージメント)に置いていること。そして強制ではないが、しない場合はその理由を説明する必要があるとしていることだ」
 「これまでも3年ごとに改定しており、今年はそのタイミング。さらに東京証券取引所の市場区分が見直されることと、菅政権がガバナンスを重視する施策を打ち出していることが重なって今回の改定に至った」
 ――改定のポイントは。
 「大きなテーマは3つ。1つ目は取締役会の機能発揮だ。とりわけ独立社外取締役を重視し、プライム市場では取締役会の3分の1以上とすべきとした。外部の目を持って企業の成長を応援してほしいという考えからだ」
 「2つ目が中核人材のダイバーシティー(多様性)の確保。取締役については改善され始めているが、執行役員や部長級などについては全体としてみると、まだ1つの色の人材になりがち。ダイバーシティーを進めたことが成長に結び付くという因果関係は証明されていないが、その推進は投資家が要求し、世界的な潮流になっている。日本もそれについていかなくてはならない」
 「そしてサステナビリティー(持続可能性)への取り組みだ。これについては今回、『適切に開示すべき』とした。次のステップは法定開示になると思う。サステナビリティーのような非財務情報は、いい話ばかりが書かれがちだが、むしろリスクや課題を明示し、その解決に取り組んでいるということを情報開示してほしい」
 ――改定の背景にはどんな社会の変化がありましたか。
 「デジタル化、人口構成の変化、そして富の偏在という3つの要素が企業の経営環境を変化させている。その中で、経営者を応援する仕組みがガバナンスだ。さらに今世紀に入ってからは気候変動・自然災害、新型コロナウイルスに代表される疫病、サイバーテロという3つのリスクが顕在化している。これらは人類の存続そのものを脅かしかねない。企業は社会の一員なのだから、当然、これに対処すべきだ」

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※2021年6月26日付け 日本経済新聞 朝刊 広告特集より転載

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