コラム

世界の企業の社会課題への取り組みを紹介します。
~カンヌライオンズ2023の受賞作から①~

新聞

カンヌライオンズを知っていますか。

カンヌと言えば、毎年5月に開催されるレッドカーペットでお馴染みの映画祭が有名ですが、6月にはそれに負けず劣らず賑わうフェスティバルが同じ会場で開催されます。それが「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(カンヌライオンズ)」です。毎年、世界100以上の国や地域から15,000人が南仏の街に集います。
カンヌライオンズは、かつては「カンヌ国際広告祭」と呼ばれる広告業界のお祭でしたが、現在では、広告・コミュニケーションに関わるクリエイティビティ(創造力)を競い、学び、語り合う場へと発展しています。そこでは、世界中の企業が大小様々な課題にどんなアイデアで解決できるのか、クリエイティビティで挑んでいます。
今回は、今年のカンヌライオンズの受賞作品の中から世界の企業の社会課題への取り組みをご紹介します。

Where To Settle / Mastercard

Cannes Lionsサイト「THE WORK」より

【作品紹介】

ウクライナ戦争勃発後、約1000万人ものウクライナからの難民がポーランド国境を越えました。しかし、多くの難民がワルシャワなどの主要都市に避難先を求めたため、大都市は過密状態になりました。増加する難民の流れに対処するためには、移動先を小都市にする必要が出てきました。

Mastercardは、「doing good by doing good」を信条とする社会的責任を持つブランドとして、難民危機にあるウクライナ人を支援するためにすぐに行動し、ベストを尽くすことを決めました。

Mastercardはポーランドの報道機関と協力し、デジタル・プラットフォーム“Where To Settle(どこに移住すべきか?)”を作成しました。このツールを使うことで、難民はポーランド国内で生活し、働く場所を見つけることができます。

Mastercardの支出に関するデータやポーランド中央統計局のカスタマイズされたデータを集約し、適切に利用することで、難民や地元のコミュニティなどすべての人にとってプラスの効果を与えることができました。

Mastercardは自社のリソースを活用することで戦争による難民の支援という大きな課題に取り組みました。その結果、効果的で魅力的なプラットフォームを生み出すことができ、難民の約20%が恩恵を受けたと推計されます。また、この取り組みは慈善事業に留まらず、ポーランド人、ウクライナ人難民のMastercardの「認知度」を大幅に高め、カード非利用者の「利用意向」を高めることで実際のビジネスにも貢献しました。カンヌライオンズでも、SDGs部門のグランプリを獲得するなど高い評価を得て、彼らの世界的な評価を高めることにつながりました。

日本経済新聞社は2019年からカンヌライオンズの日本事務局を担っています。
カンヌライオンズに関する情報はこちらをご覧ください。

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