調査・マーケティングデータ

日経企業イメージ調査とは?
Vol4._広告は企業ブランド醸成に大きく貢献

企業ブランドのイメージ醸成にはマスメディアを通じた広告活動が有効です。そのことを2019年の企業イメージ調査から分析しました。
企業イメージ調査の評価項目には「広告接触度」があります。対象企業についての広告を見かける印象度合いです。「よく見かける/ときどき見かける/あまり見かけない/見たことがない」の選択肢から1つ選んでもらいました。
広告の役割は何かと問われると、多くの人は認知度向上と答えるでしょう。実際、企業イメージ調査でも広告接触度と企業認知度は非常に高い相関関係にあります。ただ、広告接触度は「企業名を見て、広告が思い浮かぶ」ということで、広告投下量ではありません。それでも企業名を見て「広告が思い浮かぶこと」は広告効果の1つといえます。「広告が思い浮かぶこと」が企業のブランドイメージにどのような影響を与えるのかを分析してみました。

認知度が同じなら、広告が思い浮かぶ方が好イメージ

首都圏40km圏在住の18-69歳の男女を対象にした調査データを分析してみました。広告接触度とは、企業名を見て広告が思い浮かぶと定義しています。そこで認知度が同じくらいの企業同士を比較し、広告接触度が高い企業と低い企業での傾向の違いを分析しました。 その結果、同じ程度の認知度の企業同士を比較した場合、広告が思い浮かぶ企業ほど、人々はその企業に対して良いイメージを持つ傾向にあることがわかりました。(偏相関係数:0.67)


広告が思い浮かぶ企業の方がイメージが持たれる

具体的には、「よい広告活動をしている」「扱っている製品・サービスの質が良い」「営業・販売力が強い」「研究開発力・商品開発力が旺盛」などの項目で、認知度が同じ水準なら広告が思い浮かぶ企業のイメージのほうがイメージを持たれる傾向にあることがわかりました。


さらに、興味深いのは、「安定性がある」「信頼性がある」「社会の変化に対応できる」などの項目でも、広告が思い浮かぶ企業のほうがよいイメージを持たれています。広告というと、自社製品をアピールしたりプロモーションしたりする内容が多いため、製品に関するイメージなどがイメージを持たれるのは自然とも言えますが、安定性や信頼性と言った企業としての評価にまでイメージが持たれるのは非常に興味深いと言えます。

広告を見かける=企業の意気込みや将来性を感じる?

人々が企業名を見て広告が思い浮かぶほど、その企業に対して様々なブランドイメージを想起するのはなぜでしょうか。これには広告活動そのものの持つ特徴が関係しているように思われます。広告活動と関係が強い項目は「新製品が出ました」「セールをやります」「新しい技術を開発しています」など、企業側の未来に向けての取り組みを想起させる内容が多いようです。「企業名を見て広告が思い浮かぶ」=「その企業が様々なことに取り組んでいる」と解釈している様子がうかがえます。
別の調査では「こういうメディアに広告を出せるほどの資金力がある」「マスメディアでメッセージを伝えるほど意気込みがある(嘘はないと思う)」と解釈している結果もあります。日経企業イメージ調査はマスメディアでの広告活動が企業のブランドづくりに有効なことを物語っています。詳しくは次回の連載でご紹介します。


偏相関係数が高い項目

認知度が同程度であれば、広告接触度が高いほど高い傾向のあるイメージ項目